ウパニシャッド: 「ブリハダラニャカ ウパニシャッド」 と「マンデュキャ ウパニシャッド」ウパニシャッドは、ヴェーダンタ (ヒンズー教の一派) が基づいている三部作経典の一つです。(他の 2 つの経典はブラーマ スートラとバガヴァッド ギータです)。ウパニシャッドは、ヴェーダ (神聖なヒンズー経典) の最後の部分で、儀式、倫理、瞑想形態について厳格な禁止命令を与えるヴェーダの前半部とは異なり、どのようにすれば真の叡智を得れるか、または悟り (ニルヴァーナまたはサマーディ) に達することができるかについての哲学的論議に徹底して捧げられています。 108 書のウパニシャッド があると言われますが、アドヴァイタ (不二一元論的) ヴェーダンタの創始者のシャンカラチャリヤは、約 10 のウパニシャッドに関して彼の注釈を残しています。 これらの 10 書の中で、著者の個人的なお気に入りは、「ブリハダラニャカ ウパニシャッド」と「マンデュキャ ウパニシャッド」です。 「ブリハダラニャカ」は、真の自己 (アートマン)と普遍的、超越的自己 (ブラーマン) の同一性を徹底詳述し、この同一性についての真の、経験的な知識だけが私たちをサマーディまたはニルヴァーナの世界 (すなわち、悟り) に導くことができ、儀式、倫理、瞑想のいずれによっても私たちは悟りに導かれることはない、と主張します。このウパニシャッドはまた、私たちの目が見ることができないもの、耳が聞くことができないもの、鼻が匂うことができないもの、口が味うことのができないもの、すなわち、私たちの五感の背後に存在していて、五感を使っている「何者か」が私たちの真の自己であり、この自己は同時に超越的、内在的であり、かつ、決して生まれることも死ぬこともない、と主張します。 ちなみに、私たちの五感の背後にあるこの「何者か」が、ヴェーダンタ用語で言うブラーマンであって、広範な正統な神秘家によって普遍的に提唱されています。たとえば、老子は、この二元性を超えたものをその「道徳教」で示唆していますし、仏陀は、チベットを起源とする日本仏教の一派である真言宗の何百万という信奉者によって唱えられる神聖な経典である 「般若心教」で同じものを示唆しています。 「マンデュキャ ウパニシャッド」 は、主にヴェーダンタの概念の「3 つの体」の観点から、意識の性質、主観的および客観的な経験の性質、因果関係の性質の 3 つの哲学的な問題を扱います。3 つの体とは、覚醒体、夢体、睡眠体のことで、さらに、アートマン (真の自己) は、「これらの 3 つの体を統合、超越する 4 番目の意識状態」を意味する「チュリヤ」と密接な関係があります。 マンデュキャ ウパニシャッドの哲学的考察の最終結論は、時間、空間、因果関係はすべて幻想であるというものです。この結論は、アインシュタイン、ハイゼルベルク、シュルーディンガー等のような現代量物理学者が、「究極の哲学」と呼ばれるにふさわしいこのウパニシャッドと同じ結論に到達した後、現代思想が一定期間経験してきているパラダイム転換ゆえに、いっそう驚愕すべきことです。 Copyright (c) 1996-2012, by Swami Guhen. All rights reserved internationally. |