著者あとがき (カリフォルニア州パロ・アルトからのメッセージ)
私は、北岡泰典氏が訳された本書が日本の皆さんの手に渡ることを心から嬉しく思っています。
私が初めて『Influencing with Integrity』(「誠実な影響」を意味する本書の原題) を書いたとき、いつか、おそらく本書が他の言語に訳されることがあるだろうとひそかに夢みました。私は、そのとき、
6 ヶ国語に訳されるだろうとは思いませんでした。最初にフランス語に訳された後、本書は、ドイツ語、ポーランド語、スペイン語、ロシア語 (ロシア語に関しては、公認版ではありませんでしたが、2
つのバージョンの原稿が存在しました) に訳されました。奇妙なことに、私の知っているかぎり米語と英語は同じ言語であるはずなのに、Crown Publishers
社による英国版も存在します。
過去 2 週間のあいだに (2004 年 12 月時点)、中国とインドの出版社からもアプローチを受けました。本書に提示されている「誠実な影響」のための技能は、多くの文化圏の人々にとって有益なので、これだけの言語に訳されている事実は、合点のいくものです。本書が新しい言語に訳される度に、私たち人間は、闘うかわりに話し合うことを学ぶことができるという希望を私は新たにします。いつの時代においても、暴力より鼓舞された議論が好まれるべきです。
このいくらか難解なアイデア群をうまく日本語に訳された北岡泰典氏に対して感謝いたします。私が、巧みな操作 (manipulation) と影響 (influencing)
を区別することがたいせつです、と言ったとき、北岡氏は私の意味したことを真剣に受け取ってくださいました。この区別は非常に重要です。本書にある技能を悪用して他の人を巧みに操作する人は、高価な代償を払うことになります。私の言語担当のスタッフが翻訳をチェックしたとき、彼女は、北岡氏が読者に対して、これらのパワフルな戦略を採用する際に
(巧みな操作ではなく) 影響のアプローチを取るように薦めることに成功していることに感銘しました。
読者の皆さんは、私と私が認可したトレーナーは、本書で提示されている技能を教えるセミナーを、以下の国々で開講してきているという情報を有益に思われることでしょう。
オランダ (アムステルダム)、 ベルギー (ブラッセル)、ハンガリー (ブダペスト)、メキシコ (チワワ、メキシコ シティー)、インドネシア、南アフリカ
(ヨハネスバーグ)、英国 (ロンドン)、ドイツ (ミュンヘン)、ロシア (ノヴォシビルスク、サンクトペテルブルグ)、ノルウェー (スタヴァンガー)、台湾
(台北)、カナダ (トロント)。
私たちのセミナーは、また、アトランタ、ボストン、シカゴ、デンバー、ヒューストン & オースティン、テキサス、カンザスシティー、ロサンジェルス、ニューオリンズ、ニューヨーク、ポートランド、サンディエゴ、サンフランシスコ、ワシントン
D.C. といった米国の各都市で開講されてきています。非常に数多くの種類の人々と企業が、同じ戦略と技能から利益を受けることができるという事実は、私にとって非常に興味深いことです。NLP
(神経言語プログラミング) またはシントニックスと呼ばれているこの学問分野は、 カリフォルニア州サンタクルーズ市から始まって、現在、文字通り全世界に広まっています。
私の会社、International Dialogue Education Associates, Inc, . 社は、本書にある技能が多くの企業の経常収益に対して及ぼす影響について調査しました。この調査の結果は、私たちの
Web サイト (www.influencingwithintegrity.com) に紹介されています。私は、日本の企業の社員の方々が本書のアプローチを実行に移すにつれて、その企業が同じ経常収益の増加を見るものと確信しています。「ウィン
ウィン (どちらにとっても有利な)」のやり取りを求めると、業務が改善し、関係が改善し、個人的な生活もさらに満足のいくものになります。このことが、これらの技能が翻訳によって皆さんに明らかにされている核心的理由です。
これらの「心的戦術」の適用は、常になされている決定に対して有効です。一つ一つの個人的なやり取りの間にさらに効果的になることを学べば、ビジネスだけでなく、自分のエネルギーの流れにおいても、永続的な影響がもたらされます。私の次書はこのことを扱っています。
読者の方々は、「心臓数理研究所」というところで行われた最近の研究のことをご存知でしょうか? この研究では、人間の胎盤から取られた DNA を容器に入れ、科学者がその変化を測定しました。28
人の研究者が DNA のガラス瓶を他の場所に運び、その場所で、研究者は、怒り、恐怖、欲求不満、ストレスから愛、喜び、感謝、賞賛にいたるまで多様な感情を経験しました。すると、元の場所にあった
DNA は、これらの研究者の感情の変化に応じて、その形状を変えました。他の場所にいた研究者がもった肯定的な感情は、DNA の鎖を延ばし、弛緩させました。否定的な感情は、鎖を緊張させました。この研究は、「コヒーレントな心臓周波数の
DNA の形態変化に対する局所的および非局所的影響 (Local and Non local Effects of Coherent Heart Frequencies
on Conformational Changes of DNA)」と題されて公開されています。
この研究の意味合いは、私たちがもつ感情的な思考は、私たちの健康に貢献するか、または害するかのどちらかである、という点です。他の人ともつ肯定的な出会いの一つ一つが、私たちと相手の両方の健康を増進させます。この健康は、身体的および精神的健康の両方です。この研究は、コミュニケーション技能が健康にとって不可欠であることを示唆しています。
私は、いろいろな文化の人々と出会い、ワークをすることが好きなので、日本での私たちのセミナー開催に対する期待度が高まることを願っています。
読者の方々からの感想をお待ちしています。
ジェニー Z. ラボード、Ph.D.
February 2005.
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